ビルケンシュトックのフットウェアを修理(リペア)するということ、それは皆様が気に入っている一足をより長く愛用し続ける、という意思の表明でもあります。ビルケンシュトックのサンダルやクロッグはそのほとんどが修理可能であるということはブランドの特徴のひとつでもあり、リペアをしながら履き続けて表情が変化したものこそがビルケンシュトックの真の姿ではないかと思うことがあります。
今回は、お客様にリペアを案内するショップスタッフと実際にリペアをする修理工房のスタッフの対談形式で、ビルケンシュトックのリペアの魅力についてご紹介いたします。
Photo : ohnaka kei、Interview : sugimoto katsuhiko

Profile

久慈岳雪 kuji takeyuki

多感だった10代の頃に知ったビルケンシュトックのシューズに憧れたことをきっかけに、職人になるべく製靴の専門学校に進学。2010年に修理工房に配属して以来、ビルケンシュトック修理一筋の“職人”。工房に持ち込まれる様々な修理靴に触れ、お客様の大切な思い出作りに携わりながら、リペアに勤しんでいる。週末は自身で何度もリペアしている愛用の「ボストン」を履いて出かけることでリフレッシュ、これからの夢は息子とお揃いのビルケンシュトックを履いてリフレッシュ(散歩)する事。

Profile

中屋智砂子 nakaya chisako

ビルケンシュトック札幌のショップマネージャーを経て、今年9月からビルケンシュトックルミネ北千住ショップマネージャーとして赴任しているベテランスタッフ。はじめて履いたビルケンシュトック「ロンドン」は20年の時を経て(年齢がバレてしまう・・・)、現在も愛用中。ビルケンシュトックを70足以上所有し、シーズン毎に1回は必ず足を通すように心がけている。

上の写真が修理依頼をいただいたもの、下の写真がフットベッド、アウトソールを交換し、アッパーにケアを施したもの。リペアによって消耗部材は新品になり、また革などの経年による表情の変化は今後も楽しみ続けることが出来る。

お客様のさまざまな思いを受け継ぐリペア

――中屋さんは店頭で、久慈さんは工房でそれぞれリペアに関わっていますが、お客様の反応をどのように感じていますか?

中屋
店頭では、フットウェアを購入いただくお客様にリペアについてご説明しています。修理できると知っていただくと、お客様も安心され、喜ばれることが多いですね。お預かりしたフットウェアは自社工房にて少人数でリペアしているのでお戻しまでに時間がかかってしまうのが申し訳ないのですが、私自身としてはお気に入りの一足を長く愛用いただきたいので、どんな状態でも(買い換えるよりも)金額的な負担が少なくなるようにリペアをおすすめしています。生産が終わり既に販売していないモデルもたくさんありますので、同じものが欲しかったのに……という前にぜひリペアを思い出して欲しいです。

久慈
ショップスタッフのみんなが商品を販売した後も、お客様が快適に履き続けてもらえるようにリペアをおすすめしてくれるので、自分たち修理工房のスタッフもその気持ちに応えるように作業をしています。時間がかかってしまうことについては……、なるべく早くお戻しできるよう努力していますが、平均して1日に100足ほど依頼を受け、週に500足程度をリペアしていますので、工房は毎日戦場のようです(笑)。今年から始まった会員サービス「FitClub」には、会員特典としてリペア料金の割引もありますので、リペアのお客様が日増しに増えている実感があり、我々工房スタッフにはとても嬉しいことです。

中屋
10年くらい前のことですが、札幌で勤めていたときにご夫婦でお店にいらっしゃったお客様で、ご主人が「ケンジントン」と「コンウォール」(いずれもビルケンシュトックのシューズ。現在は廃番)を2足まとめて購入されたんです。ご主人はどちらにしようかすごく悩まれていたのですが、奥様が「両方履くのなら、両方買えば」とおっしゃって。とても印象的なお客様だったのでよく覚えていたのですが、その2足を昨年修理に持って来られたんです。10年近くも履き続けているのにすごくきれいで、大切にされていたのがシューズの表情からも伝わってきて、私は感動しちゃって。

久慈
ショップスタッフだからこその、良い逸話ですね。工房でもよく履き込まれたシューズを見るとお客様の想いが伝わってきます。私たちはその想いを受け継ぎ、お客様に改めて履く楽しみを感じていただく使命があるので、長年していても作業するときはいつも緊張しますね。何度も何度もリペアを続けると、結果的には新しい一足が買えるような金額になることもあるので、それでもリペアに出されるのは期待があるからだと思いますし、それには相応の技術で応え続けたいと思っています。

アウトソールの抜き型。サイズや幅ごとにいくつもの型を用意している。

ほとんどのサンダル、クロッグで採用されているEVAアウトソールのシート。当然本国ドイツより輸入した純正品を用いて一足分ずつ丁寧に抜き取っている。

中屋
確かに、ショップで受け付けていると良くわかるのですがお客様は新しい一足を購入するような気持ちでリペアに出されていますね。だから、リペア後にお渡しするとき、箱を開けたお客様の顔は、とてもびっくりされる方が多いです。「こんなにきれいになるの!」って。

久慈
自分たちはそれ(お客様が驚き、喜ぶ顔)が見られないことが非常に残念ですよ(笑)。きれいになって戻ってくると、お客様の愛着が一層強くなると思いますし、リペアができるのはビルケンシュトックの大きな魅力だと本当に思います。

リペアのタイミング

――久慈さんはプロフェッショナルなリペアスタッフとして毎日さまざまな状態の靴を見ていますが、日々のシューケアやリペアに出すタイミングについてポイントやアドバイスなど何かありますか?

久慈
お客様がリペアに出しているシューズやサンダルを見て、修理スタッフの立場で少し気になるのが「クリームの塗り過ぎ(過剰なシューケア)」です。丁寧にシューケアをしていただき嬉しいのですが、クリームが多すぎると埃が付着し、汚れが取りづらくなることでシューズの寿命を逆に短くしてしまう恐れがあります。適量で、こまめにケアしていただくのがおすすめです。シューケアに時間を割くのはなかなか難しいかもしれませんが、簡単に出来るブラッシングと、靴底(ソール)のチェックはお願いしたいですね。お持込いただくリペア内容も、ヒール交換やオールソール交換などのアウトソール修理がとても多いです。サンダルの場合、かかとやつま先のソールの減りがコルク部分に近づいていれば修理に出すタイミングではないかと思います。

中屋
お店でも同様に感じていて、ソールが減っているお客様には声をかけるようにしています。

久慈
ソールが減ったものを履き続けると足にも余計に負担がかかります。ビルケンシュトックの機能は、アッパー、インソール、アウトソールのコンディションが整ってはじめて実感できるので、摩耗する部分は定期的にリペアによって交換していただくのがよいと思います。

中屋
サンダルのように履くシーズンが限られるものは、しまう前にお店でシューケアをさせていただくと、次のシーズンも状態がよく、気持ちよく履いていただけると思います。サンダルで思い出しましたが、「ギゼ」ばかりを2〜3足お持ちのご年配の男性のお客様がいて、それを修理しながらずっと履いていただいています。お孫さんにもサンダルを贈られて、ビルケンシュトックのよさを実感されているんだと感じます。

張替えが完了したアウトソールを、しっかりとアッパーと接着させるための最終行程。

久慈
同じ靴を毎日履かずに、3足ほどをローテーションしながら履いていただくのがおすすめですよね。履いていると足の裏も汗をたくさんかきますし、それがフットベッドに染み込んでいきます。なので、1回履いたら次に履くまでに最低でも3日ほど空けていただくのが理想だと思います。

――履き方やシューケアによって靴のコンディションが変わりますし、より長くビルケンシュトックを履いて頂くためにもリペアをおすすめしたいですね。

中屋
大切な1足だからリペアに出されるわけですが、嬉しいことに売り場にいるとお客様のビルケンシュトック愛に溢れるエピソードをたくさんお聞きします。そんなエピソードが増えていくように、今後もリペアをおすすめしていきたいです。


■INFORMATION

ビルケンシュトックのフットウェアは、履き続けるほど自身の足に馴染んでくるという特徴をそなえています。だからこそ、リペアを通じて出来るだけ長く愛用していただきたいと思っています。

無料の会員サービス「FitClub(フィットクラブ)」では、特典としてビルケンシュトックフットウェアの修理を10%OFFでご利用いただけ、またフットウェアにあわせた適切なケア方法のご紹介やそれぞれのご購入時期に合わせた修理のご案内などを個別に行っております。

サンダルやクロッグを本格的に着用する春夏シーズン前のこのタイミングこそ、お持ちのビルケンシュトックをリペアするのに最適な時期ですので、ぜひご入会の上でご利用ください。

「FitClub(フィットクラブ)」はこちらより